「黒塗り世界宛て書簡【謎解きMV】」あとがき(ネタバレなし編)

こんにちは。Nakaです。

2023年の1月に投稿した「黒塗り世界宛て書簡【謎解きMV】」のあとがきを書いていきます。

この投稿はネタバレなしのものになります。この記事では謎解きの内容のネタバレはありません(ですが、解読のヒントになりうる記述はあるかもしれません)。

謎のヒントや、ネタバレあり編の解説あとがきは以下から飛べます。

※ネタバレあり編は執筆中です。しばらくお待ちください。

動画について

投稿したのはこちらの動画です。2分9秒の動画の中にかなりの密度で謎を仕込みました。この動画を見たことがないという方はぜひ一度見てほしいです。

この動画は二次創作MVとして製作しました。元となった楽曲を紹介します。

一次創作元は、フロクロさんによって作られた「黒塗り世界宛て書簡」です。この楽曲を聞いたことがないという人は、まずこの曲を聴いてください。今すぐ。

この記事では、この楽曲のNakaによる考察や解釈が含まれます。予めご了承ください。

謎解きMVを作ろうと思ったきっかけ

この曲で謎解きMVを作ろうと思ったのは2023年の1月初頭、卒論で忙しくしていた時期のことでした。作業の背景に好きな曲を流しているのですが、自動セレクトで偶然この曲が流れてきました。そもそもこの曲は前から知っていたのですが最近はあまり聞いておらず、久しぶりに聞いて思わず卒論を書く手が止まってしまいました。初めて聞いたときはあまり思わなかったけど、なんてメッセージ性の強い楽曲なんだ。そう思った私は、そのメッセージを自分なりに再解釈するべく何かを作ることにしました。二次創作の動機なんてその程度のものです。

しかし、再解釈の方法がなぜ「謎解きMV」という形だったのか。それは、この楽曲の私の解釈にかかわる部分でした。

「黒塗り世界宛て書簡」とは

「黒塗り世界宛て書簡」とは、フロクロさんが作り重音テトが歌唱するUTAU楽曲です。

とだけ言えば簡単な話ですが、その概要欄にはこのような言葉が書かれています。

この楽曲は放送衛生委員会に提出済であり、委員会の指導に基づき一部音声に修正を加えています。

「黒塗り世界宛て書簡」概要欄より

「放送衛生委員会」などという委員会は存在しませんが、なんとなく放送に関する内容を見ている組織なんだろうなと想像がつきます。(ちなみに「衛星放送協会」という似た感じの名前の組織は実在します。)

この楽曲のもっとも目につきやすい特徴と言えば「歌詞の一部が規制されている」ということ。タイトルにも「黒塗り」とあるように、MVの歌詞は黒塗りになり音声は規制音により塗りつぶされて聞き取ることができません。概要欄によれば、その検閲は「放送衛生委員会」によってなされているらしいです。

ここで重要なのは「検閲はあくまでも第三者で行われていること」と「この楽曲は検閲前の姿が存在している」ことだと考えています。ただし「検閲前の姿」の公開はされていませんし、それがフロクロさんの手で作られているのかどうかもわかりません。ここでの「存在」は、検閲をするためには検閲前の姿が存在していなければならない、という意味です。

さて、第三者による検閲がなされたとわかったうえでこの楽曲を聞き手の立場考えてみると「第三者によって検閲された楽曲に込められたメッセージを理解すること」となるのではないでしょうか。……この立場、どこかで聞いたことはありませんか?ない人もいるかもしれません。私はこれを考えたとき謎解きのシチュエーションなのでは?と思いました。

謎解きを作るにあたって多くの製作者がぶつかるであろう「なぜ謎問題」。謎解きコンテンツにおいて、なぜ謎が存在していてなぜ解き手はその謎を解かなければいけないのか。この動機付けの一つの定番パターンに「ある人物(情報を隠したい人)によって謎に変えられた重要な情報を解き明かすこと」があります。このように見比べると「黒塗り世界宛て書簡」と「謎解き」はその構造において非常に似ていると考えました。

であるならば、きっとこの楽曲と謎解きの相性はいいはず。ということで、謎解きを作ることにしました。形式は一枚謎や、MVを参照するタイプの謎など複数考えられますが「曲に合わせて作る謎だから、曲と一緒に謎を見てほしい」という考えで新しくMVを作る謎解きMVという形式を採用しました。

「謎解きMV」

今回作った謎解きは「謎解きMV」という形式であると述べましたが、この用語は恐らく一般的ではありません。検索してもほとんど出てきません。でも、だれかやってるだろうなと思ってます。調べると「MV謎解き」というものが松丸亮吾さんによって作られているらしいことがわかります。

ではなぜ今回のは「謎解きMV」としたかというと、あくまでも主役は楽曲であり、作ったものの本筋はMVである、という意思表示のためです。謎解きはおまけ、ということです。ふたを開けると謎解きの主張は強いし重すぎるしで、とても楽曲を主役とできている気はしませんが…。

ちなみに、謎解きWikiというwebページには類似する名前の「MV謎」という謎解きの形式の紹介があります。こちらは既存の楽曲の既存のMVを参照しながら解く謎解きで、MVと謎に関係性はありますが連続性はありません。

今回はそうではなくMVそのものが謎解きであるものを作ろうと考えました。しかし、私は動画なんてまともに作ったことがありません。MVなんてもってのほか。それなのに謎解きとMVを組み合わせなければならないのはさすがに難しい。

ということで、今回は謎が次々と現れるようなMVを作ることにしました。全体を通して原作MVの雰囲気や演出を踏襲することを心掛けました。

原作MVをオマージュした謎解きMV

原曲のMVはモノクロの画面に一部黒塗りされた歌詞が次々と現れてイラストが一切登場しないものになっています。そこで、今回の謎解きMVの問題制作にあたっていくつかの制約を課すことにしました。

  • 色を使わないこと
  • イラストを使わないこと(記号は許容する)
  • すべての謎の一部を黒塗りにすること
  • 原曲MVのカット割りを参考にそこそこのペースで謎が出現し続けるようにすること
  • 自分なりのこの楽曲への「答え」を謎に仕込むこと

ざっくりこれぐらいです(本当はもう少しあるのですが、それらはネタバレを含んでしまうのでネタバレありのあとがきで触れます)。色を使わないことやイラストを使わないことは、原曲MVの雰囲気を壊さないするようにするためです。しかし、この制約にしたことでなかなか早い段階でネタ切れを起こしそうになってしまい大変でした。

そして一番大変だったのが「すべての謎の一部を黒塗りにすること」でした。謎の一部が汚れて見えなくなっているような謎のことを謎解き界隈の一部では「インク謎」として親しまれています。

しかし、今回は無作為にかけられたインク(作問者の作為まみれではあるけれども)ではなく「第三者がかける黒塗り」です。塗りつぶされるワードにそれなりの理由を用意してあげる必要がありました。でも、この制約のおかげでとんでもない問題も生み出せたので結果オーライです。

同じ一枚謎を長時間出していてはつまらないので、なるべくたくさんの謎がでてくるようにしました。その結果、最初や最後の黒背景の箇所を含めると29カットになりました。動画時間が2分9秒なので一カット平均4.5秒です。ちなみに、最短カットは一秒もありません。

そして、ただの一枚謎の集まりではなく大きな仕掛け、所謂「大謎」を仕込むことにしました。どういう大謎を仕込んだのか、最後の答えの意図はなんなのか。それは解説兼ネタバレありのあとがきでお話しします。

めちゃくちゃ難しくした理由

これを読んでくださっている方の中で、「あのMVの謎難しすぎる」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もそう思います。ですが、難易度をかなり上げていることについてはそれなりの理由があります。

それは、この楽曲が聞き手に要求するとある姿勢です。

ネタバレあり編でより詳しく考察することとしますが、原曲の黒塗りはある程度予想・復元が可能です。しかし、そのためにはある程度の知識や考察が必要になってきます。

楽曲の真の姿や伝えたいメッセージを得るためには、聞き手に相応の努力を要求します。これは、ただ息をしているだけでも情報が手に入るような情報化社会のなかで主体的に考え読み取ることの必要性を我々に突き付けているのだ、と考えました。

そこで、今回の謎は解き手にかなりの努力を要求するような構造としました。見えているすべてのこと、あるいは見えていない隠されたこと、そのすべてを使って頭を使い謎を解いてもらうようにしました。これは万人に解けるよう調整された謎ではなく、答えを知るべく努力をした者だけが答えを知ることのできる謎解きなのです。

実際のところは黒塗りをしていったら気が付いたら難易度が激増しちゃってた、というのも事実です。

最後に

ということで、Nakaの二次創作「黒塗り世界宛て書簡【謎解きMV】」の謎のネタバレを含まないあとがきでした。作り始めた動機、自分なりの楽曲への解釈を少し書いてみました。

いかがだったでしょうか。まだ「黒塗り世界宛て書簡」という曲をそこまで聞いていない人は、ぜひこの曲を味わっていただきたいです。この楽曲に対する考察はすでに多くの方によってなされているのでそれらを読んでみるのも面白いと思います。

そのうえでもしこの謎解きMVに興味を持っていただけたならば、ぜひ挑戦して解いていただきたいです。ヒントはこちらで公開していますので、詰まってしまったときはご活用ください。

楽曲解釈についてまだまだ触れたりないのですが、これ以上はどうしても謎解きのネタバレを避けることができません。以降の話はネタバレあり編でお話しします。

※現在執筆中です。しばらくお待ちください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Naka

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